第25回胸部放射線研究会報告

10月21日に下関で開催された胸部放射線研究会では44演題の報告がなされた。多くの貴重かつ稀有な症例が提示された。そのなかで臨床面から印象的であった症例に関して解説したい。

①演題17 潰瘍性大腸炎の治療中に出現した胸壁腫瘤。胸囲結核が疑われ切除がなされたが最終診断は壊疽性膿皮症であった。潰瘍性大腸炎の約20%に合併し、外科的処置は禁忌とされている皮膚疾患で、胸壁発生はまれであるとのことである。

②演題28 多発小結節の52歳女性。喫煙1本/日!!! CT画像は小嚢胞と外側3/1肺野に散在する崩れかけたような小結節や淡い小結節から典型的なLCHの画像といえるが、TBLBの所見から提示施設の病理医は過敏性肺臓炎と・・・。研究会の病理コメンテイターの福岡先生からLCHの診断で問題なしと画像を裏付けるご意見あり。しかし日に1本の喫煙よりは家族内の重喫煙者の存在が原因と考えられる。

③演題29と演題35はErdheim-Chester病 画像はcoated aorta sign と腎周囲の軟部影より典型像であるが、演題35は肺はLCHで肩の軟部腫瘤はE-C病とのことで、免染のCD1aが両者の鑑別の決めてとなる。しかしこれらの本体はまだまだ研究が進行中で将来はどのように分類されてくるのか興味深い。

④演題37 PLCDD (Pulmonary light chain deposition disease)の1例は私の教科書の内分泌疾患と胸部の項の演習問題に使用した症例と同一疾患と思われる。本報告例はシェーグレン症候群の合併を疑うも確定診断には至っていないそうですが・・・。肺の多発嚢胞と多発結節で病理的にアミロイドーシスと類似するがコンゴーレッド等に染まらない、最終診断にはκ-chain,λ-chainの染色や電顕の検討が必要な疾患で、和名は単クローン性免疫グロブリン沈着症と言うそうです。覚え難いので1976年に最初に報告したRandallの名前をいただきRandall症候群としたらと思ったしだいです。

他にも末端肥大症と大腸癌におけるIGF-1受容体の強発現と小型腺癌のPET集積の関連に関する考察など多数の興味深い報告があり、大変勉強になった研究会でした。

11.11.02に開催のイベント

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