アーカイブ 12月, 2010
12月帝京大学CBの症例報告
12月21日6時より開始された。次回のCBは1月25日(火)の開催に決まりました。
4例の症例検討あり。はじめの2例はCancerではないが腫瘍を疑い切除された症例が提示された。
症例1は左下肺野の腫瘤影で、incomplete border signを呈し、側面像では紡錘形で葉間裂と関連した形状を呈している。CTでは明瞭な皮膜石灰化ありVATSにて切除された。病理で胸腔内の石灰化皮膜有する結核腫と診断された。MRのリング状のエンハンス効果とdiffusion所見等からも結核腫として矛盾はしないと考えられたが、2年前に検診を受け胸部異常は指摘されておらず、経過も画像も発生部位も興味深い症例と考えられた。
症例2は検診発見の右上肺野結節で画像的にはスピクラに限局的な牽引性気管支拡張ともなう小型腺癌様の結節で、CTでは明瞭な石綿プラーク広がり石綿暴露に伴う肺癌を強く示唆された。しかし3ヶ月程後のVATS直前のCTでは、おおよそではあるが腫瘍面積で50%ほど縮小している。しかし、細胞診でも悪性所見が示唆されたため切除となった。病理では乾酪巣ともなう結核病巣であった。
症例3は中葉の典型的な腺癌様の所見であるが、TBLBでもVATS標本でも、扁平上皮癌であったが、病理の切片からpT3(pm1)N0M0と肺内転移または同時多発の可能性が示唆されたが、病理標本の切り出しとCT画像の照らし合わせから、肺内転移様に見えたのは血管気管支鞘に添って連続的に広がった部を見ているだけではないかと考えられ、病理医もそれで納得できた。
症例4は胃癌、前立腺癌のある患者で前立腺癌の広範囲の転移が見られている。胸部では小型結節影と右背側肺野に胸膜に接した腫瘤あり、この部の経皮生検所見から肺の小細胞癌の可能性が疑われたが画像と腫瘍マーカー等検査データや治療経過からもすべて前立腺癌の転移として矛盾はしないであろうという結論であった。画像的には肺血管の怒張蛇行がいくつかの腫瘤と連続して見られ血管内の腫瘍塞栓の可能性が高いと考えたが、胸部は造影CTが施行されていなくて確診には至っていない。
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