アーカイブ 7月, 2012
第19回呼吸器疾患夏期セミナー
日時:平成24年7月18日(水)19:00~
場所:名鉄トヤマホテル 4F「瑞雲の間」
住所:富山市桜橋通り2-28
電話:076-442-4411
【特別講演】
座長 富山大学附属病院 第一内科 診療教授 林 龍二 先生
『胸部写真読影の基本 -見落としを少なくするためにー』
講師 東邦大学 放射線科 客員教授 佐藤雅史
さいたま赤十字呼吸器カンファ報告
7月11日のさいたま赤十字病院で行われたカンファランスにおける興味深い症例の解説
症例①81歳 女性 右肺尖部にS1、S2の無気肺と左上葉の結節影と硬化性陰影あり、陳旧性結核と診断されていたが、呼吸器症状出現し両下肺野に広範囲に広がる気道病巣と空洞形成あり、喀痰からGaffky9号。これからの日本では高齢者の再燃結核が大きな臨床問題となると考えられた。この患者は、右上葉の気管支結核まで発症しておりながら、抗結核薬の服用歴等無しにいったんは治癒状態であった。
症例②62歳 女性 画像は右肺門部腫瘤とびまん性多発肺結節より肺癌とその肺内転移で問題なし。しかしnonsmall cell caの約5%を占めるALK陽性肺癌とわかり、分子標的薬(クリゾチニブ)を使用すると僅か1週間後にほとんど腫瘍は消失となる!! 今後ますますこの分野での治療薬の開発が進むと思われるが、あまりの効果に驚かされた。
症例③25歳 女性 発熱と乾性咳 浸潤影は完全に左心陰影にかくれんぼしており下行大動脈のシルエットアウトに注目しないと見落としてしまう。CTはマイコプラズマ肺炎に一致する所見であった。気管支・細気管支病変と小葉性のすりガラス陰影およびair bronchogram伴なう浸潤影が左下葉に限局してみられた。
症例④53歳 男性 DMあり。単純写真にて頚部に皮下気腫と上縦隔影の拡大あり。この1枚の写真から上咽頭膿瘍の縦隔内進展による化膿性縦隔炎の診断が可能である。CTは広範な気腫と液体貯留を縦隔内に認めたが単純を見直してみても縦隔は拡大以外には異常指摘は困難であった。
症例⑤54歳 DM患者で腎透析中 びまん性肺野陰影出現するも呼吸器症状は軽度である。CT画像は比較的典型的なPC肺炎像と思われた。β・Dグルカンも600以上と著増している。
症例⑥右中肺野の限局的胸膜肥厚像あり、肋骨骨折痕と隣接しており外傷性変化としてしまいがちであるが、CTではやや離れている。経過で胸水出現し生検し中皮腫と診断された。対側にも小型肺結節ありこちらは扁平上皮癌と診断されている。著増している中皮腫の診断は、病理組織が得られても困難なこともあるが、原因不明の胸水や限局的な胸膜肥厚・腫瘤見た際は常に中皮腫の存在を念頭に診断に当たる必要がある。
症例⑦ 81歳 女性 高熱 一見正常の胸部写真に見えるが両側肺尖部のびまん性粟粒影の存在が疑われた。CTでは上肺野優位の極めて微細な粒状影の分布が証明されて粟粒結核と診断可能である。しかし単純写真で見えた粒状影はそれぞれの粒としては大きすぎるため、いわゆるsummation効果と呼ばれる粒の重なりによりより大きな粒状影に見えたものとかんがえた。ここでも高齢者の肺結核の再燃の臨床的な重要性が強調された。ちなみに肺野に空洞等の肺結核病巣は認められないが喀痰中に結核菌が証明された。
症例⑧ 80歳 女性 大きなvanishing tumorの症例であるが小葉間裂内の液体貯留とも思えないほど中葉内結節に見えたが、利尿剤で消失している。軸位断のみでは困難で、冠状断や矢状断の追加なしでの評価は困難とかんがえられた。
症例⑨ 5年前に十二指腸乳頭部癌の術歴あり。無症状ながら・・上肺野優位のびまん性結節と浸潤影あり。経過観察中に空洞形成出現し肺結核とGaffky5号と診断されたが、見直してもTB疑うことは難しいと思われたが・・気道散布病巣はあり・・その否定は画像からは出来ず、結核症の画像診断の難しさを再確認した症例。
7月のさいたま赤十字病院呼吸器カンファランス
今月は第三水曜日から第二水曜日11日19:00~に変更になっております。宜しく御願いいたします。
総合健診学会人間ドック専門医講習会
7月7日 午後14時25分~
日本大学駿河台病院3F会議室
胸部画像診断 「胸部単純写真の見落としを少なくする読影法」
7月帝京大学CG
症例① 右上葉の小型腺癌の症例。画像所見は胸膜付近のスピクラ伴なう腺癌として矛盾しない症例である。下葉にも陳旧性の肉芽腫性変化あり。問題点は上葉内の数ミリの粒状影をひとつ認め、これが病理的に肺内転移pmの可能性が疑われた。原発巣も組織学的にSCCと診断されている。病理側から腫瘍壊死のgoast cellとする所見無くpm(+)とはとてもいえない。原発も一部SCC様組織あるも全体では腺癌の組織型でよいと述べられた。
症例②両側肺尖部に、画像からは典型的な真菌球形成型のアスペルギローマの症例であるが、右肺尖のアスベルギローマ病変に接して頭側に腫瘤影もあり、CTガイド下生検で小細胞癌と診断された。病理側より小細胞とするには少し問題あり、以前にはintermediate cell typeと分類されていたものに近くLC-NECはじめとした未分化癌の判断は病理所見からの統一的な診断見解を得ることの困難さが述べられている。腫瘍マーカーもPro-GRP,CEAともに上昇が見られた。また小細胞癌に対する化学療法と平行して予防的な抗真菌薬の投与がなされていいるが、その是非と今後のアスペルの治療に関しても討論がなされた。
症例③多彩な画像所見の症例であるが、基本はランダム分布から肺転移と考えられる両肺のびまん性に散布する粒状影と右下葉の胸膜下に帯状に広がる容積減少伴なうコンソリデーションよりなる。そのほかにも細気管支周囲の線維化、間質性肺炎・肺線維症、すりガラス陰影等も経過で出現している。問題点は洗浄液からクリプトが見つかり、右下葉S8のTBLBからmucinous carcinomaの可能性も否定出来ないとのコメントあり。びまん性粒状影が転移なのかクリプトの散布なのか・・・・?また今後VATSを行う際の生検部位に関しても、S8のコンソリデーション部ではなく散布する粒状部の生検の方が悪性腫瘍の診断には役立つという・・・!! 病理からのアドバイスあり。
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