第7回Chest Imaging Forum症例報告
2011年9月7日(水)19:00~21:00 聖路加国際病院2Fトイスラー記念ホール 当番世話人 佐藤雅史 岩澤多恵
教育講演「肺の大きさについて」岩澤多恵先生講演
要旨 IPF/UIPの肺容積減少は年率で7%程の割合で進行し、肺容積減少が50%以下になると1年以内に死亡する。肺容積の経時的変化の評価には、CTよりも単純写真による観察の方が有用かつ容易である。最近話題の喫煙関連肺線維症CPFE/ASEFの症例では、進行性の肺容積減少はほとんどないが、肺高血圧症と肺癌の合併は非常に高いタイプの線維症である。
よくまとまった大変に勉強になったミニレクチャーでした。
一般演題 「網状影を呈した症例」
症例①小葉間隔壁肥厚伴なうびまん性陰影。縦隔リンパ節の石灰化を伴なう腫脹を伴っている点が診断のKey pointとなる症例。診断はアミロイドーシス。点状のリンパ節石灰化はかなりこの疾患に特有の所見と考えられた。
症例② 肺水腫様の肺門周囲にひろがる陰影と心嚢液または心筋症を思わせるぼってりした心拡大の症例。CTでは空洞もあり下肺野では胸膜下の収束性変化伴なう索状影もみられ慢性のPCPとしても矛盾しない変化であるが・・・。HIV感染にともなうPCPと心筋症の症例、AIDS患者の3~8%に心筋症が合併すると報告されているそうです・・!
症例③ 慢性のびまん性嚢胞性変化をきたした症例。右頚部肩関節周囲の軟部腫瘤も胸部単純PAに描出されている。CTではひしゃげた嚢胞でいわゆるMickymouseの耳様の変化からLCH疑うが病変は肺底区まで広がる。軟部の生検ではErdheim-Chester病、肺の生検ではLCHとのことで両者の合併の報告は知られているとのこと。骨シンチでは典型的な長管骨の対称的な取り込みあり、E-C病に一致する所見である。
症例④ 両肺尖部の嚢胞伴なう全肺野にびまん性の浸潤影。画像からは典型的なCystic fibrosisの所見である。遺伝子的に証明されており、日本人ではめずらしいが30例以上の症例報告あり。
症例⑤左下肺の淡いすりガラス影と縦隔リンパ節腫大あり。伝染性単核球症に伴なう咽頭の白苔伴なう腫脹や脾腫もみとめる。CTでは軽度のウイルス性肺炎として矛盾しない所見と考えられた。
症例⑥~⑧ 縦隔境界面に関する教育的な症例としてアカラシアや食道癌、縦隔脂肪腫・脂肪肉腫併発の症例提示がなされた。
次回の第8回 CIF は2012年1月25日(水)で当番世話人は佐藤秀一先生と佐藤雅史
第9回は2012年4月25日(水)で、楠本先生と佐藤雅史になります。ミニレクチャーはそれぞれ第8回は佐藤秀一先生、第9回は楠本先生担当になります。
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