第51回臨床呼吸器カンファランス内容報告

3月10日 18時より明治記念館「蓬菜の間」で 「IG-G4関連肺疾患」のテーマで研究会が開かれた。

富山大学保健管理センター松井祥子准教授 : レクチャー「IgG4関連疾患-2011‐」

レクチャーに先立ち4症例の提示がなされた。詳細に関しては次回に小冊子が配布されると思われるので詳細はそちらを参考にしていただきたい。大変に興味を持たれるテーマなので参加者も多く熱心な討論もおこなわれて大変に勉強になりました。

提示症例は画像的には典型的なMCD/IPLの所見として問題にならないと考えた。鑑別として無理やり上げればアミロイドーシスやサルコイドがあがるか・・・・?IL-6 10.3ngとCRP 3.3mgとこの両者の上昇があまり見られない点、およびステロイドに対する反応が弱いことが、臨床的にMCDとの重要な鑑別点となることが強調された。

提示症例は自己免疫性膵炎、硬化性胆管炎有し、胸部画像は肺野多発結節でG4関連疾患の診断にはとくに問題ならないが、後天性血友病を発症しており、これも今までに報告例はないが、病因的にIgG4と関連して発症したと考えて矛盾はしないと述べられた。

提示症例③④はともに胸部画像的には問題あり、NSIP様とSmorker’s lungの画像所見でG4との関連性の有無は胸部画像からは困難であった。

松井先生のレクチャー前の提示症例に対するコメントととして、これら4症例は全てきわめてまれな発症形態とのことであった。レクチャーの内容で、私にとって印象的であったのは、①.MGHのgroupが本症に対する研究班をすでに立ち上げて、IgG4 related systemic diseaseの名称を使い初めているが、これは発信元である本邦のIgG4 related disease(IgG4関連疾患)と異なる病名である。②.50歳の年齢で前立腺肥大を呈する患者をみたらIgG4関連疾患を疑え!!③.AML等の悪性腫瘍や担癌患者に好発する。④.治療は自己免疫性膵炎に準じるがステロイド剤ははじめ30~40mg/dayで開始し漸減しながらも約3年間の維持療法を必要とする。⑤.診断基準にステロイド治療に良好に反応する点が含まれる。⑥.胸部の画像所見は大変に多彩でどんな陰影でも取り得る。

講演後の討議で、関東中央病院病理の岡先生が発言され、「IgG4関連疾患と皆さんが言う疾患概念は、いうなれば血沈亢進に対する血沈症候群のような病名であり、私は過去にこの病名を付けたことはない!今も用いていないし、これからも将来決して病理診断名として、この病名を用いることはないであろう!」と病理医の立場から述べられたが・・・・・。言うまでもなく、病理診断が全ての疾患の正確な最終診断では決してありえない。せめて「IgG4関連疾患と呼ばれる疾患群として矛盾しない。」程度の病理報告は将来的には必要ではないかと、私は思うが・・・?また、臨床医の立場からはステロイド剤の著効が、現在作成中の診断基準に含まれる点が大変に興味深い。以前に、さいたま赤十字病院のカンファで提示された症例は、PETで肺門部腫瘤・縦隔リンパ節と膵臓に多発のuptakeあり、がんセンターでsecond opinionまで受け、肺門部肺癌と膵臓転移と診断されていたが、IgG4関連疾患を疑い、ステロイド剤内服すると・・・・肺門部腫瘤・腫大縦隔リンパ節および膵臓多発腫瘤は全て消失してしまった。

第12回東京びまん肺疾患研究会 10月1日(土曜)9時30分より IgG4関連疾患をテーマに、松井祥子先生が当番世話人のもと開催されます。

11.04.05に開催のイベント

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