2011年1月埼玉日赤・呼吸器カンファ・レポート

新年の埼玉日赤は、恒例により私の講演を行った。テーマは昨年の放射線学会総会の研修医セミナーの「胸部画像のmimicker達」すなわちnormal variants やpseud‐lesionなど病変と間違えやすい正常範囲の所見に関する内容でお話しさせていただいた。

講演の前に、通常の症例提示・画像検討も行われた。このうちの2例を選んで、興味深い症例の画像を提示する。

症例①は脳転移で発症している。この正面写真から左肺門に重なる腫瘍の存在指摘に困難を覚える方も多いと思われるが、同時に撮影された側面像からは、境界明瞭な腫瘤影を容易に指摘ことが可能である。左上葉の肺癌とその脳転移として矛盾しないと考えられた。かくれんぼ肺癌の一例であるかくれんぼ肺癌肺尖、肺門、心陰影、横隔膜下等に隠れ、胸部単純で黒く写るいわゆる肺野だけ観察すると見落としてしまう肺癌に関して、私が名付けました。左右の比較読影や側面像が存在診断に重要です。

 

症例② この症例もやはり多発性脳転移で発症している。左上葉の無気肺像伴う肺門部腫瘤をみとめ、原発性肺癌として矛盾はない所見であるが、この症例は右中肺野の巨大な腫瘤と胸椎の側彎症も伴なっている。画像診断のみならず臨床診断の基本として、「常に病気は一元的に考えろ!」といわれる。これは大切な言葉ではあるが常に正しいとはもちろん限らない。この症例はCT画像から皮膚の多発小結節と側彎胸椎の小型のmeningocele髄膜瘤認め、神経線維腫症:レックリングハウゼン病の診断が可能である。それでは右の巨大腫瘤影からは何を考える・・・?経皮生検が施行されて神経原性線維腫の診断が確定している。胸壁または肋間神経からの発生と考えられた。神経線維腫症は比較的頻度の高い遺伝性の母斑症であり、肺病変としては下肺野の線維化とともに上中肺野のブラ形成の頻度も高く、成人では約20%とする報告もある。この症例も著明な上肺野の気腫性嚢胞ブラの広がりをみた。肺癌と神経線維腫症の合併頻度は・・・?高いという報告は今まで目にしていないが、線維化や気腫性変化あれば当然、正常者と比較すれば肺癌の頻度が高くても全くおかしくはないと考える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回の埼玉日赤・呼吸器・カンファ2月16日19時からの予定です。興味深い画像の症例ありましたら是非、提示を御願いいたします。それでは、松島秀和先生また来月もよろしく!みな楽しみにお待ちしております。

11.01.24に開催のイベント

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