2月帝京大学キャンサーボード報告

3症例が提示され討議された。

症例①  思春期に縦隔腫瘍が指摘されていた40代の男性。陰茎腫大、血尿あり、骨盤内血栓症疑いヘパリン・ウロキナーゼ開始する。WBC20.000CRP32と高値。徐々に軽快してきたが、突然の胸痛あり左胸水も出現し、胸部外科に紹介となる。画像は前縦隔に石灰化伴なう比較的厚い壁の嚢胞性腫瘍である。多房性で壁在結節もある定型的な成熟型奇形腫として矛盾しない。そして胸水貯留と激しい胸痛発作から、腫瘍穿破それも強い胸痛より膵液含む内容物の穿破が強く疑われた。前縦隔腫瘍摘出術が施行され、成熟型奇形腫と診断されたが、腫瘍穿破は明らかでなく、胸水は1500mlあり。病理標本からは腫瘍壁に著明な好中球浸潤あり急性炎症所見も認めるが、細菌感染等を疑う変化はなし。壁在結節部は皮膚や消化管の組織を認めたが膵臓とする組織像はなし。奇形腫摘出により炎症所見はデータ上も改善し骨盤内の病変も著明に軽快した。臨床的には縦隔腫瘍が元となり、何らかの原因で骨盤内にも血栓形成様の血管障害を来たしたものと考えられたが両者の関連を上手く説明できる解説は・・・難しい。

症例②左上肺野の巨大ブラに合併した肺癌の症例。10年前に右上葉大細胞肺癌と小脳転移で放射線治療を受けた既往あり。pT3N0M1  今回は低分化腺癌でCB討議点は肺内に多発する10個程度の小結節がメタか肉芽腫か?これによりstage分類が異なってくると、治療計画がj変更される可能性あり。全身化学療法後に原発巣は44%縮小し肺内の多発結節の一部の円形で形態から転移の可能性の高いものは明らかに、腫瘍径の縮小傾向認め、治療結果から多発結節の一部は肉芽腫、一部は転移という結論で了解された。N2リンパ節のPET集積とCTサイズの短径1cmに関しては今後の検討事項とされた。

症例③70代のIgG4関連疾患としての後腹膜線維症の症例に合併し、胸膜直下の微細結節から限局的胸膜肥厚ともなった肺癌へ進行した症例。後腹膜線維症は骨盤内に限局し尿管閉塞を来たしステント挿入されている。ステロイド治療で著明に改善しているが、胸膜下小結節が大量の胸水貯留と縦隔リンパ節腫大へと急速に増悪し縦隔リンパ節の針生検で壊死傾向の著明な腺癌と診断される。大変に奇妙な腫瘍進展を呈した症例で、いま話題のIgG4関連疾患は大変に多彩な臨床像を来たすことが知られている。悪性腫瘍と間違えるような、しかしステロイド剤の使用で消失する良性の腫瘍性病変が多く知られているが、実際には悪性腫瘍自体の合併も多いのではないかという意見もでた。

12.02.28に開催のイベント

コメントどうぞ

  •  お名前
  •  メールアドレス
  •  サイトURL

GO PAGE TOP
MS.CHEST Inc.の情報を購読する
株式会社MS.CHEST 〒140-0001 東京都品川区北品川1-2-21 TEL 03-6712-1609 FAX 03-6712-1609