129回びまん肺疾患研究会報告
5月28日に大阪で行われたびまん肺疾患研究会に画像司会で参加してきたので提示された症例の画像を中心に簡単に報告解説する。
症例①両肺に多発性空洞性腫瘤を来たした75歳の男性。CT所見から下肺野優位の多発性の空洞性腫瘤で気腫性変化も目立っていた。Gaシンチで鼻腔と両側腎にuptakeもあり比較的典型的なWegener肉芽腫の症例で特に問題ないと考えた。初診時にアスペルの抗体・抗原(+)であった。Wegener肉芽腫としての治療により病変は著明に改善したが、80病日に左上肺野に浸潤影出現し、BAL液中にAspergilus nigerを証明し、抗真菌剤の治療となる。治療前のアスペルギルス抗体・抗原陽性の意義が強調された。
症例②びまん性すりガラス陰影を呈している長期鳥飼育歴有する67歳女性。この症例もCT画像からは鳥飼病による過敏性肺臓炎として矛盾は無いと考えた。特に下肺野の地図状のすりガラスと影と正常小葉のモザイクパターンに加え、正常小葉に見える部の小葉中心に点状陰影等は特徴的と思われた。NSIP,PCP等が鑑別にあげられるが臨床情報からは診断に全く矛盾はない。ANCAの上昇が見られたが、慢性・亜急性、または亜慢性過敏性肺臓炎抗原吸入での反応性ANCAの上昇はみられることがあるとのことでした。
症例③関節痛・発熱主訴の33歳、女性。CT所見は、上縦隔リンパ節腫大と胸膜下の斑状影や線状影からサルコイドが疑われた。両側下肢の間接にGaの取り込みあり。臨床的には典型的なレフグレン症候群と思われた。本邦ではまれなサルコイドの表現型であるが、北欧では頻度が高い。
症例④溶接工に見られたびまん性粒状影をていした72歳男性。単純で分かるびまん性陰影で一見サルコイドか粟粒結核を疑うがVATSでは溶接工肺の所見のみで粒状陰影の原因は分からなかった。下痢等の感染症状で初診しており、何らかのウイルス感染が粟粒影の原因であった可能性が指摘された。以前にさいたま赤十字のカンファでサリドマイド使用による粟粒影パターンの薬剤性肺炎の症例を思いださせる。その他、サルコであった可能性やリンパ増殖性疾患、hot tub lungの可能性などいろいろの意見が会場で聞かれた。
症例⑤びまん性肺疾患の急性増悪にて死亡した62歳男性。石綿肺に伴なう線維化に肺癌とサルコイドーシスが合併したと考えられた症例でした。
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