5月さいたま赤十字病院呼吸器カンファランス報告

5月18日19時より呼吸器カンファランスが開催され、研修医が多く参加し熱心な討議がなされら。

症例①53歳 女性 胸痛あり。単純写真は左下葉の浸潤影。肺炎の診断にて抗生剤治療すると臨床的な改善は見られたが、肺野陰影は2週間で急速に増大する。CT所見は病変がLLLに限局し結節、すりガラス影、コンソリデーションと多彩であるが、他の肺葉に全く異常なく、CRP0.3、WBC9200のデータよりクリプトコックスが最も疑われた。胸痛の症状をどのように説明するか疑問点であるが、画像的には、一葉内の多彩な多発性陰影よりクリプトの診断にあまり問題ないと考えられた症例である。

症例②59歳男性 アルコール依存症 単純で左肺尖部に大きな二ボー形成と左上中肺野に空洞性浸潤影、反対側右肺野にも気道散布様浸潤あり、画像も臨床データからも重症の結核を示唆されたが、肺尖の二ボーは結核空洞では液体貯留はまれなことより、感染性ブラの可能性が高いと考えられた。誘発喀痰でガフキー3号が照明された。

症例③60歳男性 左鎖骨と肋骨に隠れた、いわゆるかくれんぼ肺癌の症例。研修医は難なく指摘した。

症例④74歳女性 背部痛 発熱 教育的症例で典型的な間質性肺水腫症例。

症例⑤60歳男性 38度超える発熱 咳嗽 右下葉の浸潤陰影あるも濃い目のすりガラス影と言った印象。CTでは右下葉のすりガラスではなくコンソリデーション+右胸水貯留あり。CK上昇と肝腎不全併発よりレジオネラ感染に伴なう横紋筋融解症を併発したものと考えられた。日本では温泉入浴での感染が有名であったが、最近では梅雨時に泥をはねたトラックのエアコンを使用した運転手に発症する症例が多いことが報告された。また、臨床的に見当識障害などの精神症状や下痢など消化管を訴える点が強調された。

症例⑥60歳男性 発熱 胸部単純の陰影が興味深く右縦隔影の突出であるが、上行大動脈蛇行との鑑別が問題となった。直接にえない右縦隔線と左の大動脈弓を点で結ぶ<佐藤式・・・・法>が有用と紹介された。側面像で胸骨背部の透亮像が消えている点から前縦隔腫瘍と考えられた。MR所見にて良好に造影され中心に壊死伴なう点、また右胸水も伴い、胸腺癌と診断した。生検組織ではSCCであった。

症例⑦58歳男性 呼吸苦 肝機能障害GOT、GPT6000台と著明に高値。単純では著明な心拡大と右中等度胸水貯留あり。心不全疑う肺野の間質性肺水腫や蝶型陰影は全くなし。画像からは心嚢液貯留を疑い、胸水と心嚢液の組み合わせからSLE等の膠原病など鑑別にあげたが、心嚢液は血性で細胞診クラスⅤ胸水は黄色透明。心嚢ドレーン後は胸水は自然消失し左下葉に結節影現れる。肺癌の心膜転移に伴なう心タンポナーゼにより右心不全を起こし、そのための二次的な鬱血肝と胸水貯留と考えられた。興味深い症例。

症例⑧ 55歳女性 腰痛 CTで定型的な肺野のLAMの画像と大きな両側腎の血管筋脂肪腫あり。腰痛の原因として腎腫瘍のmicro-aneurysmのruptureと考えられた。

症例⑨20歳男性 CT所見で左S6とS1+2にまたがる葉間を貫くような浸潤影とすりガラス影あり。CEP:慢性好酸球性肺炎の特徴的画像と考えるが、末梢血の好酸球数増多は、正常範囲上限にとどまっていた。気管支鏡にてCEPと診断された。

11.05.18に投稿された記事

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