新宿チェストカンファランス報告
社会保険中央病院 2階会議室 19時
6症例の画像を中心とした討議がなされた。
症例①60歳代 右下肺野S8の2cm程度のSPNの単純と胸部CTが提示された。一部三角状の奇妙な形状をていしていたが、画像的には特異的な所見ない。PETでSUV3.2と軽度のuptake認めた。また右肺門リンパ節にも同様に軽度のuptakeあり、悪性腫瘍と肺門転移も否定できないことから診断も兼ね開胸切除された。術中の迅速標本からは肺梗塞の診断であったが、最終病理診断はアミロイドーマとのことであったが・・・、肺門のuptakeの評価もなく、病理も含め診断には問題が残ると考える症例であった。
症例② 60歳代 男性 高熱と乾性咳嗽 単純写真は気道病変、小粒状陰影散布と肺底区の線状影の混在が両下肺野、右中肺野に目立った。胸部CTでは著明な気管支肥厚像とびまん性の細気管支炎の所見から、典型的なDPBの画像に一致すると考えた。しかし急性の発症と現在本邦では新しいDPBの発症はまず無いと考えられていることから、マイコプラズマによる細気管支炎の可能性を疑い血清交代価測定するも、上昇なし。結局、新型インフルエンザにより細気管支粘膜にびまん性のダメージを受け、その後、インフルエンザ菌等の二次感染を気道に来たした結果の気道病変のダメージの画像ではないか・・?という結論に達した。抗生剤による反応も良好であった。会場の出席者からも同様の症例の経験があり、この新しい知見に対しての今後の臨床的な啓蒙活動に関しては重要と考えられた。
症例③ 70歳代 女性 胸部単純で右傍気管線のびまん性の肥厚を認め、胸部CTはびまん性の気管支壁の一部石灰化ともなう肥厚を認め、内腔狭窄はないが壁は不整であった。鑑別診断のポイントとして気管・主気管支部膜様部にも同様に壁肥厚あり、この点から多発軟骨炎の可能性は否定可能と思われた。画像的には典型的な石灰化ともなう気管気管支アミロイドーシスの所見であったが、鑑別疾患として、生理的なサーベル鞘気管、Wegener肉芽腫、Trachiobronchopathica osteochondroplastica、Ig-G4関連疾患、UC/クローン病等の消化器疾患関連の気道病変などがあげられた。
症例④ 30歳代 男性 肺野多発結節とびまん性粒状陰影それに左胸鎖関節部周囲膿瘍あり、上肺野の微細粒状陰影の収束を伴う散布像のHRCT画像からは、岡ⅡB型といわれる結核の細気管支病巣の典型的画像所見が強く示唆された。肺野多発結節影も胸壁病巣も結核の画像として全く矛盾なし。
症例⑤ 60歳代 男性 肺癌術後の薬剤性肺炎に対しステロイドが長期に使用されていた症例に、新たに現れた感染症状と胸部CTにおける多発空洞性病変。脳MRにおいても病変あり、喀痰にてノカルジアと診断された。病理解剖が行われ、脳、皮膚、肺野病変すべてノカルジア症と診断された免疫低下した患者ではノカルジア、クリプト含めた真菌症、結核が鑑別としてあげられた。脳へのノカルジアの進展頻度の高さも強調された。
症例6 40歳代 男性 前縦隔腫瘍の症例で、悪性リンパ腫との鑑別のため経皮生検がなされ、奇形腫と診断されたが切除標本にはParagangliomaやSeminomaの組織も一部散在しており、このような胚細胞腫を混合する奇形腫に対する経皮生検の限界と合併症の危険性に関して討議された。また、MRのdiffusion image等を加えて画像解析すれば、悪性リンパ腫を否定目的のために経皮生検を施行する意義はほとんど無いと思われる。報告者の経験から、奇形腫の針生検における皮膜穿通時の強い抵抗感は、奇形腫の診断に特徴的であるという点は興味深い。
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