さいたま赤十字病院呼吸器カンファランス報告
2012年1月18日(水) 19:00より
講演に先立ち症例検討が行われた。
症例①右肺全体の浸潤影、中肺野に透亮あり空洞の可能性も否定できず、対側肺にも軽度の浸潤影や結節陰影あり。発熱を主訴としているが病変のわりに咳嗽・喀痰はそれ程強くない。CT所見では著しい中葉と舌区に気管支拡張所見目立つことより、慢性に経過し進行した非結核性抗酸菌症アビウムとして矛盾なしと考えられた。
症例②急激に発症した呼吸不全とほぼ正常な胸部写真。胸痛もあったとの臨床情報から、定型的な肺動脈血栓塞栓症PTEとして問題なし。右肺門の軽度腫大はナックルサインの軽い所見としてよいと思われ、CT所見にて確認された。
症例③検診で左大量胸水あり。CT所見で縦隔側胸膜に微細な顆粒状変化目立ち中皮腫に特有な所見と思われた。胸腔鏡下生検で中皮腫と診断された。
症例④以前より右肺尖部に局在した石灰化の散布影あり。新しくその周辺に浸潤影出現。結核の再燃として問題ないように思えたが、CT所見をよく観察すれば、B2気管支口の肥厚像や気道中心性粒状影(つぶつぶ)や気道病変の広がりから、通常の結核シューブではなく気管支結核としての再燃と診断可能な症例。
症例⑤右上葉の著明な容積増大を伴った内部均一な肺葉性コンソリデーションの症例。いわゆる肺葉膨隆徴候を呈する感染症ということでクレブジラ肺炎疑い、喀痰からもそれが証明された。他に肺葉膨隆徴候を示す感染としては肺炎球菌性肺炎やレジオネラ肺炎があると述べられた。
(まとめ)症例はどれも画像を詳細に分析すれば正確な診断に近づける教育的な素晴らしい症例提示でした。
私の講演内容は「他人に差をつける中央陰影読影の10のポイント」。を行った。
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